アメリカのぶどう

1979年、87年、89年と若旦那はアメリカに1ヶ月ずつ行ってました。
まあ、詳しい経緯を書くと非常に長くなるので、やめときますが、(若旦那がホントに若かった)その時の農業とぶどうの話。

とんでもないんですよ、アメリカの農業って。
日本とはスケールが違いすぎて、笑っちゃうほど。

地平線が見えるほどの田んぼって想像できます?あるんです、そういうの。
しかもそれって個人所有。聞けばその面積って「山手線の内回りと同程度」と言ってましたか。
そうか、一周するのに電車で1時間以上かかるんだ・・・。  
 まあ、そういう規模の田んぼなので、ビルを建築するときの重機みたいな農業機械が百数十台。
正確に何台あるか数えてないや、と農場主が言ってましたが、
ついでに「どこに何を置いといたか忘れちゃってねー」とも言ってました。
なにしろその広さですからねぇ、あちこち置きっぱなしになるでしょ。(ホントか?)

で、上空をさっきからずーっとセスナ機が旋回してるので「あれは何やってんの?農薬散布?」と思ったら
「スズメ追ってるんです」と言ってました。(そ、そうなのか?かなり無駄なような気がするぞ?)
まるでホラ話のようですが、ホントです。ちなみに、この田んぼ日本人経営です。

それから、ブロッコリーの畑も見ました。
でかさと言う点ではやはりこのスケールは見たことない。
畑で仕事してるシーンを見ました。
メキシコ人らしき労働者が5,6人のグループで、でかい機械と共に移動しながら流れ作業的に
ブロッコリーを収穫してました。ろう引きしたダンボールに詰め、冷水に浸して冷蔵庫へ。
・・・なんかねー、こういうの見ると工業製品みたいで食べたい気がしないですな。
日本のスーパーマーケットで「アメリカ産」と見るたび思い出します。

肉牛の牧場見ました。私が見たアメリカ農業の中じゃこれが一番インパクトありましたね。
「ハリスランチ」という牧場でしたが、なにしろ牛が10万頭いるんです。
ピンときます?この数・・・。
バスでの移動でしたが、その牛の群れが見えたとたん、「うおおお?!」とバスの中がどよめきましたもん。
近くで見たら、みなさん自我が崩壊したのか一様に笑ってます。
地平線ならぬ牛平線てのははじめて見ました。
なにしろこへんは人間より牛の方が多いそうですからねー。実際見ると笑うしかないです。
そのアリの団体みたいな数とにおいと暑さと冗談みたいなスケール!・・・本物のカウボーイだ・・・。
あー、なんかうまく表現できない。このすごさをうまく形容できないのがまことに残念ですたい。
なんかねぇ、「東京ドーム何個分の広さ」とかの言い方がやけに陳腐に感じるくらいなんです。これって・・・。

・・・前置きが長くなりましたが、ぶどうの話。
アメリカのぶどうって、ほとんどワイン用です。ですからワイン工場なんかも見たんですが。
アメリカじゃ日本みたいに「棚(たな)仕立て」で頭の上にぶどうを栽培してません。
ぶどうの木を柵にもたれ掛けさせる「垣根仕立て」です。
この違いの理由の主な物は「日本には台風が多いから」なんですね。
アメリカには柵なぎ倒すほどの風が吹かない。
ハリケーンとかサイクロンとかの台風もどきはそのあたりには無縁らしいです。
で、そのワイン工場で私的には非常に驚かされる話を聞きました。
それはぶどうの糖度(甘さ)の話でした。
「ワインを造るにはぶどうの糖度は22度程度が良いが、一日、二日収穫が遅れると24,5度になってしまう。
だから収穫時期を決めるのにいつも悩んでいる」って言うんです。
いやー、ぶどう農家としちゃショックな話でしたねー。そんな甘いぶどうって日本にはまず無いですもの。
日本のワイン工場で「ぶどうの糖度が上がらなくて困ってる」と聞いたことありますが、
アメリカじゃ上がり過ぎて困ってます。
日本じゃ17,8度あればOK、と言われてるんですよ?
まあ、ぶどうの味って酸度とか肉質、香りとかのいろんな要素があるので
一概に甘さだけじゃ語れないんですけどね。

そこはアメリカでも砂漠地帯でしたから雨が降らないって事もうらやましかったですね。
ぶどうの病気ってほとんど雨が原因なんです。「水媒伝染」といってほとんどの病原体は雨で蔓延します。
日本には梅雨があります。ですから日本では露地で栽培できないぶどうはたくさんあるんです。
病気になるし、ぶどうの肌は荒れるし、割れるし。つまり、商品価値がない。

ですから、87年にそれを見て、88年当時では先進的といわれた「雨よけ栽培」を当園で導入しました。
そのとき思いましたよ、「雨を除けるとこんなに違うのか」って。
飯能地区では、ほとんどのぶどう農家がその後雨よけ栽培を導入して成功してます。

ちなみに、当時アメリカに行った時の仲間とは今でも交流が続き、毎年夏にはぶどう狩りにきてくれます。
時の流れを感じるのは皆さん子供連れってことでしょうか。
EDIクラブのみなさーん!今年も待ってますぜ!

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